最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)1617号 判決 1949年3月24日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人及川竜七郎上告趣意について。
しかし、強盗傷人罪は、強盗たる身分を有する者が強盗の実行中又はその機會においてその手段たる行爲若しくはその他の行爲に因り人に傷害の結果を発生せしめることにより成立する強盗罪と傷害罪との結合犯である。
そして原判決は、被告人が所携の短刀を以て判示強盗の手段たる脅迫行爲の実行中その機會に判示傷害を被害者に生ぜしめたものと認定したのであるから、たとい、所論のようにその傷害が被害者においてその短刀を握つたため生じたものであつたとしても、強盗傷人罪の成立を妨ぐるものではない。論旨は理由がない。
よって旧刑訴第四四六條によつて主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)